Web ZINE『吹けよ春風』

Web ZINE『吹けよ春風』と申します🌸

小さいものの大きい変化(橋本夏)

引っ越しをした。子が来年小学校にあがることや、住んでいた賃貸の壁に「そういうデザイン?」ばりにカビが発生しまくること、夫が上階に住んでいるフランス人から脳みそに埋め込むチップをすすめられたことなど理由はいろいろあるけど、とにかく引っ越しを…

ビジネスパートナー(諸橋隼人)

通話スペースの空気は淀んでいる。こんなところで、楽しそうに電話をする人間はいない。私以外の2人も、何やら神妙な面持ちをしていた。 自動販売機の不味そうな菓子パンは、賞味期限がやたらと長くて不気味だ。私は相手に一言お礼を言い、通話を終わらせた…

謎のお菓子と、メスティンで作るシーチキンペペロンチーノ(仲井 陽)

天馬フレークというお菓子をご存じだろうか。 小指の先ほどの大きさの薄い揚げ菓子で、形は馬のひづめのような切りかけのある楕円形、色は白く、食感はサクッと軽い。和紙を捩じったような包み紙に入っていて、きめ細かい砂糖のような粉がまぶされ、口に入れ…

サスティナブル・オタク・ライフ(森山流)

社会人を15年ほどやっている。双極性障害の患者としての歴史はもう少し長く、17年を越える。オタクであることについてはいつからなのか自覚がない。物心ついた時には、父からコレクションしている映画スーパーマンシリーズ(初代)を見せられ、サンダーバー…

BOY・meets・BOØWYとBowie(赤松新)

「これやってると時間がすっ飛ばされる」ってことないですか?14時くらいから始めて、気が付いたら20時過ぎてた、みたいな。この6時間なにやってたんだ?的な。決して違法なクスリとかの話ではなく、没頭というか夢中というか、もう身体が言う事を聞か…

ことを投げるなや(インターネットウミウシ)

「こと」は常に空気中を漂っている。「こと」は人間の目で見ることはできない。「こと」は人間の声に反応し集まってくる。「こと」は人間の手のひらが好きだ。「こと」を怒らせてはいけない。菌でも粒子でもない「こと」。霊でも念でもない「こと」。敵でも…

約10年前のわたしへ(兵藤るり)

『約』とつけているのは、最近自分の年齢をなるべく意識しないように努めているからである。まあ、それはさておき。なぜこのようなタイトルなのかというと、きっかけは先日、ぼーっとテレビを見ていたときのことだった。とある番組で合唱コンクール特集がや…

おわりに

気づいたら、春。「春といえば桜」と勝手に思っていたのですが、最近の桜は冬と春の境目辺りに咲いて春になるかならないかぐらいでいなくなっているような気がします。コロナが流行り、家から出られない日々を数年過ごし、外に出ても常にマスクをしている生…

地上ツアーへようこそ(七嶋ナオ)

人が地上に生まれてくるときには、運命の女神たちのいる門にまず行かねばなりません。どのような地上ツアーにするのかの大筋を決めるのです。どこに生まれ、何をするのか、運命の女神にクジで決められる人もいれば、徳貯金が貯まってい…

カマンベール(ハーシップハーシップ)

バンコクで夜行列車に乗り込む。 思い出にと食堂車でタイ飯弁当をたべる。車掌が座席をベッドに変えてくれる頃合いを見計らって席に戻ると、おばさんが寝ていた。起こす。 拙いタイ語で伝える。「ワタシココ」。 おばさん騒ぐ。何言ってるかさっぱりわからな…

Continue to be saved.(宮本七生)

記事中には、被害の描写が含まれています。フラッシュバックなどの心配がある方は注意してご覧ください。 2021年5月21日 今回の山谷議員の発言から陸上大会の話については大会規定の話であるし、そもそもの人権と差別問題については切り分け、すり合わせて考…

台車の話(あめち)

台車の話 みなさん台車好きですか? 基本的には四角い箱か板にタイヤが4つ付いているアレです。 (スタンダードな台車) ぼくは台車が好きです。 職業的にも台車に触れる機会が多く、仕事の効率も台車の性能に左右されると言っても過言ではありません。 その為…

おわりに

どうも、『吹けよ春風』主筆の相馬光です。この度は最後までお楽しみいただき、ありがとうございます。このWebZINEがまさかこんなに続くとは思いませんでした。春が近づくとこのZINEのことが頭の中をふわふわと駆け巡るようになりました。そして公開日の4月1…

WebZINE『吹けよ春風』2022年復刊号目次

1、ごあいさつ fukeyoharukaze.com 2、記憶の片隅にある(どうでもいい)言葉について(橋本 夏) fukeyoharukaze.com 3、歌って踊るために生きてきたんじゃないかって(天羽尚吾) fukeyoharukaze.com 4、広島のローカル番組では、アンガールズ田中が広…

春の野の花たちへ(weed)

「Poetomy」(ポエトミー)の皆さん、こんばんは。一斉送信で失礼します。weedです。「こんにちは」や「おはよう」の方もいるでしょう。私の住んでいる北の島は、陽が落ちて、海鳥たちが静かに浜辺で羽を震わせています。今日は一日中ぽかぽかと暖かくて、風…

リンダルー(次七)

あれから。 最初の詩写真小品集を作っています。 発刊は5月8日で、予約は近日中に。 これを書くのは風の強い日のこと。 間に合うかなと思いましたが、 ここで試作品をあげてみます。 7枚のポストカード。 これはわたしの作った印刷見本で、 本物は厚くてしっ…

歌って踊るために生きてきたんじゃないかって(天羽尚吾)

青年が、なぜ生きるのかを問われ、幼いころを思い出し呟いた。 「僕はここで三人でかけっこをするために生まれてきたんじゃないかって…」「進撃の巨人」(諫山創/講談社)より 大人気の少年漫画から、こんな言葉を聞けると思わなくて、おなかの底にポチャン…

広島のローカル番組では、アンガールズ田中が広島弁を使う(北向ハナウタ)

縁もゆかりもない広島に移り住んでから1年近くが経った。 様々なことが新鮮である。驚くほど広島カープが愛されており、街を歩けば試合日でなくとも真っ赤なユニフォームや帽子をかぶったおじさんとすれ違う。店に入ればおばちゃんから何の脈絡もなく「カー…

もう止めようぜ。『スパークス・ブラザーズ』が始まってることだし(赤松新)

4月8日から「スパークス・ブラザーズ」が公開された。 「Sparks」はロン・メイルとラッセル・メイルの兄弟によって結成され、1971年にデビューしたアメリカのバンド。 「スパークス・ブラザーズ」はSparksの活動50周年のドキュメンタリ…

雑誌の図書館、大宅壮一文庫へ行って雑誌以外を楽しむ(相馬光)

雑誌だけを所蔵している図書館。所蔵はなんと80万冊(2022年4月現在)。しかし来館者は出庫へは入れない。そんなミステリアスな図書館の書庫に、ずいずいと入ってみた。 この『吹けよ春風』では、毎回家でできる趣味を探す記事を書いていた。 毛布を丸めて飼…

記憶の片隅にある(どうでもいい)言葉について(橋本 夏)

むかし自分が誰かに言った一言を思い出して「あ、つら……」と道端で立ち止まるのは人間あるあるだと思う。一方で、私は誰かに言われた言葉をそこまで覚えていない。だから他の人も案外そんなものかもしれないと思うことで「あ、つら……」を切り抜けている。 た…

「『やついフェス 勝手に応援記事』のその後」のその後(うめすみ)

「他に書くネタはないのかよ」と言われそうだなぁと怯えつつ「でも後日談も書きたいし、なによりかぎかっこと二重かぎかっこでマトリョーシカみたいになるし」と思い立ってしまったので許してください。 これからも年に一度、その後のその後のその後の…と頭…

居酒屋百景(日下田)

日下田(higeta) モグリのイラストレーター。スピードタイプ。 https://www.higeta.net/ https://twitter.com/higeta https://www.instagram.com/higetax/

2020年4月の私に伝えたい「6つの変化」(はとだ)

Web ZINE『吹けよ春風』が創刊された、2020年4月16日。 最初の緊急事態宣言が発令されたばかりのこの頃、まさか2年後の2022年もコロナが収束していないこと、それどころか第7波の兆候が見えはじめている状況とは思いもよらなかったでしょう。 コロナ対応です…

しめてくれ!(インターネットウミウシ)

もう何度言っただろうか。 なのに目の前のスマートスピーカーとやらは全く反応しない。 割と大声も出している。 対人だったらハラスメントになるくらいに言っている。 両隣の部屋の壁が薄いので苦情が来ないか心配だ。 さっきも物音がした。 もしかしたら私…

忘れてしまうもの(ちゃっきー)

もうだいたい人様に 多少なりとも有益になりそうなネタというものが尽きてしまって、 何を書いたらいいか、わからない。 そもそもすべて浅く広く生きてきたので 知識も経験もまんべんなく半端なので。 かと言って今をときめく脚本家の同級生に頼まれたら断る…

ほのぼの育児エッセイ(arata)

最近どうですか?マイブームのほうは。 あ、ユアブームか。違うか、ユアマイブームか。まあどうでもいいか。 僕の今のマイブームは息子の写真を撮ることです。昨年の11月に生まれて、それから毎日写真を撮っています。それで毎日息子に接していて気づいたん…

地中に眠る物語(諸橋隼人)

季節はすっかり春ですね。 友人の相馬さんから、今年も「吹けよ春風」に誘っていただき、書かせてもらうことになりました。 ところが、何を書いていいのかわからない。どうしよう。 そんな中、紆余曲折あり、ひとつネタを拾うことができました。 少し変わっ…

角の国(世田谷アメ子)

『角の国』 ありふれた話かもしれない。 それでいいのなら。 ◇ 幾何学模様が刻まれた、果てなくつづくガラス面の上に立っていた。 ガラスの底には光を透かせたなめらかな琥珀色の液体が流れ、私の足もとにはゆらめく波紋が反射している。それらはすべて小さ…

もっともっと脳と仲良くしたい(七海仁)

「吹けよ春風」年に一度の復刊おめでとうございます。 寄稿者としてだけでなく、一読者として毎年復刊を楽しみにしている七海仁です。漫画の原作を書く仕事をしています。 編集長の相馬さんから「今年も是非」とLINEを頂いたのが2月。2ヵ月も前にご連絡を頂…