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広島のローカル番組では、アンガールズ田中が広島弁を使う(北向ハナウタ)

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縁もゆかりもない広島に移り住んでから1年近くが経った。
 
様々なことが新鮮である。驚くほど広島カープが愛されており、街を歩けば試合日でなくとも真っ赤なユニフォームや帽子をかぶったおじさんとすれ違う。店に入ればおばちゃんから何の脈絡もなく「カープファンですか?」と訊かれる。
想像しているよりかなりの頻度でお好み焼きを食べる。オタフクソースで食べる。鉄板から食べる。
むさし、ちから、徳川、シャレオ、パルコ前で待ち合わせ、云々…。

画像タイトル:広島のローカル番組では、アンガールズ田中が広島弁を使う(北向ハナウタ)

 中国放送RCC)で、『元就。』というテレビ番組が放映されている。
 
MCはともに広島出身であるアンガールズのふたり。毛利元就の家臣である、という設定の田中と山根が、広島の街を歩きながらその街に眠る歴史を紐解き、新たな名所や名物を見つけていく、というロケ番組である。
 
大きな山も谷もないこのローカル番組であるが、それゆえのゆるい空気感が心地よく、肩肘を張らない、広島弁丸出しの田中がこの番組では見られる(この広島弁がビジネス広島弁なのか素のものなのか、筆者には区別がつかないが)。
 
全国放送では“弱々しさ”の奥に並々ならぬバラエティに対しての熱を持ち、いかなるタイミングも逃すまいと鋭い眼光を向けているあの田中が、道ゆく一般人にゆるく絡み、美味しいものを食べたら「うまいでがんす!」と叫び、のびのびと広島弁で番組を進行している。これだけでもなんだか良いものを見れたな、と思う。
 
三原市に新しくできた、免疫力向上を売りにするホテルをロケする回が印象的だった。
 
故・神田川俊郎先生の指導のもと作られたというホテルの食事を紹介するシーン。田中が、木の切り株でできた皿を見て「ワイルドだなぁ」とつぶやくと、隣にいた山根がすぐさまスギちゃんと加山雄三だ、と突っ込んだ。
 
山根って、こんなスピードでこんな的確に突っ込むことができたんだ、「ワイルドだなぁ」からすぐに加山雄三が出てくるなんて!筆者は山根のことを何も知らなかったのだと頭を打ち付けられた気がした。

田中も嬉しそうに乗っかり、「ワイルドだなぁ、僕は木の皿でご飯を食べているときが一番ワイルドなんだ」と重ねる。ホテルの女将そっちのけで、ふたりで楽しそうに盛り上がっている。このフレーズをいたく気に入ったのか田中はこのあとも何度か「ワイルドだなぁ」とつぶやいていた。
 
のびのびしていたのは田中だけじゃなかった、山根も広島で羽根を伸ばしていたんだ。この日のこの放送で、田中が山根とコンビを組んだ理由の一端が垣間見えたように思えた。
 
春の風が、ジャンガジャンガと吹いた。
 
※ぼーっと見ていた番組のため、記事内のセリフはうろ覚えであることをご了承ください。


北向 ハナウタ
会社員/ライター/イラストレータ