Web ZINE『吹けよ春風』

Web ZINE『吹けよ春風』と申します🌸

もっともっともっと脳と仲良くしたい(銭湯編)(七海仁)

月に2~3回、銭湯に行っています。

 

そろそろ5年目に突入しようとしている漫画原作の仕事(集英社グランドジャンプ」で「Shrink ~精神科医ヨワイ~」連載中です。最新巻⑩巻5月19日発売です。宣伝です)。

 

「アイデアが出なけりゃ終わり」という恐怖の中を走り続けながら、自分なりに「脳とうまく付き合う方法」を模索してきました。

 


脳の仕組みを学び、新しい発想を得やすいルーティーンを組み、つくづく思ったのは「脳は非日常を喜ぶ」ということ。

普段とは違うものを見る・経験することで「楽しい」「わくわくする」感情を持つと、扁桃体が反応し情報や記憶を管理する海馬に作用するそうです。それが脳の発達にとって良い効果をもたらし、集中力や情報処理能力もアップするのだとか。


そこでコロナ禍も一旦落ち着きつつある最近は、もっぱら銭湯に通っています。手っ取り早く非日常感を得られるし、脳をリラックスさせることでアイデアも出やすくなるし。…とか何とか言いながら、何より昔から大好きなんです、銭湯という場所が。

自らの備忘録を兼ねて、個人的におすすめの銭湯(一部スーパー銭湯)をいくつかご紹介します。

 

www.hisamatsuyu.jp


練馬区のスタイリッシュ銭湯です。どこもかしこもピカピカ清潔で爽やかです。何もかもがモノトーンです。天井のトップライトから燦燦と太陽の光が降り注ぎ、さらにお風呂に浸かりながら芸術家集団「アトリエオモヤ」のプロジェクションマッピングまで楽しめてしまいます。贅沢。天然温泉の露天風呂も完備。

shimizuyu.jp

表参道という都内屈指のおしゃれタウンにこんな銭湯が…と驚きます。中に入るとわりと年季が入った券売機が迎えてくれて、外の雰囲気とのギャップに一瞬脳がバグります。そんなに広くはないですが、シルク風呂、ジェットバス、炭酸泉と揃っていて居心地よし。湯上りには落ち着いたバースペースでベルギービールとか飲めるのがさすがの立地(?)というところでしょうか。

 

www.aqua-higashinakano1010.com
こじんまりとした銭湯ではありますが、高濃度炭酸泉、ジェットバス、シルク風呂、露天風呂とさまざまなお風呂が勢ぞろい。そしてなんとここにはプール…プールがあるんです!! 長さ7メートル、しっかりした深さのプールは夏場28度、冬場18度くらいの冷たさで、お風呂に浸かった後またはサウナ後に身を沈めたり脚をチャポハポしたり時には軽く泳いだり。唯一無二の爽快感です。

thermae-yu.jp

歌舞伎町エリア(そして吉本興業本社の真ん前)にある我らが新宿が誇るスパ。地下2階から4階までの6フロアに大浴場、岩盤浴、レストランにマッサージ、休憩エリアがあり、どこも広々としています。内風呂エリアには高濃度炭酸泉、ジェットバスなど5つの浴槽があってどれもかなりの大きさで思いきり脚を伸ばして入ることが出来ます。露天エリアには静岡・中伊豆から毎日運ばれてくる天然温泉と寝湯なども。平日はちょっと不安になるくらい(ごめんなさい…)空いていて居心地が良いです。いつも大体寝湯で寝転がって「アイデア出てこい」と唸っています。

www.sayanoyudokoro.co.jp

 

都心にいながらまるでどこかの温泉街の由緒ある旅館に来たような気分にさせてくれる銭湯です。枯山水の苔庭が清々しく、四季折々の風景が楽しめる日本庭園が美しい。壺湯、寝湯、天然温泉が溢れる大きな浴槽もあって、都内最高レベルの開放感を味わえます。休憩所が少ないのは少し気になりますが、食事処の蕎麦が本当に美味しい…!!

 

www.spajapo.com
国内最大級のスーパー銭湯、東京のキングオブ銭湯です。野球場のような外観の建物の中に15種類の浴槽、2種類のサウナ、フードコートにカフェ、レストラン、温度が異なる5種類の岩盤浴…と回り切れないほどのエリアが詰まっています。中でも圧巻は巨大な休憩エリアで、鳥かご風のソファスペースや二段ベッド風スペースなど他の銭湯ではまず見ないさまざまなデザインが楽しいです。漫画も読み放題で、1日いても飽きません。銭湯好きなら一度は行ってみるべき場所だと思います(ただし週末はものすごく混むので可能であれば是非平日に)。

 

…予想よりすごい熱量で推薦文を書いている自分に自分でちょっと引いてますが(このへんで止めないとエンドレスで続けそうです)、思い出していたらまた銭湯に行きたくなってきました。今度はいつ行こう、次の締切の後かな。

銭湯に決まって持参するのは(中で買うと高い)お茶、それから文庫本です。


 まず体を洗って高濃度炭酸泉で体を温めてから露天に移動。肩を優しく冷やす外気を感じながら防水カバーを付けた本を開く至福の時。湯上りに水分補給した後岩盤浴でまた軽く汗をかいたり、ソファーで寝転がったり。最近はコワーキングスペースを設ける施設も増えました。パソコンを持ち込めば1日なんてあっという間です。楽しい、銭湯は最高です。

 「そんなに通うなんて、よっぽどお風呂が好きなんだね」


 帰宅後、洗濯機を回している最中に友人から届いたLINEを見て、ふと違和感。
 「お風呂が好き」……果たして本当にそうなんだっけ?


 元来熱い湯が苦手で、自宅の風呂の設定温度はいつも38度。サウナは湿った熱い空気が息苦しくて三分も持たない(上記の施設は全てサウナ完備していますが、ほぼ入ったことがありません…)。露天風呂も出たり入ったりを繰り返す烏の行水で、デッキチェアーで読書する時間のほうが長いかも。

 
…あれ、もしかして、丸一日いて湯に浸かる時間は三十分にも満たないのでは?


 友人へどう返すか悩みつつ、より詳しく自分の行動を思い返してみました。

 
大きな花柄の野暮ったい館内着を着て昼寝。フードコートで割高なラーメンをすすり「たまにだから」とクリームソーダも頼んだ。その後は胡坐をかいてパソコン作業。露天風呂でほかのお客さんが「ここだから言えるんだけどさ…」と友達に囁く恋の話や家族の秘密に耳をそばだてた。


 ―なるほど。自分はどうやら、温泉に入ること自体よりも、公共の場のはずなのにあけっぴろげな、身も心も裸になることを許された空間で、自分の心が解れていくのを楽しんでいるようです。


 上記でおすすめした銭湯はどこも、長湯が苦手な人ものんびりできる屋外の「沐浴」スペースがあります。どんな楽しみ方をする人も温かく受け止めてくれる懐の深い銭湯、ご興味ある方は是非。

 

grandjump.shueisha.co.jp