Web ZINE『吹けよ春風』

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歌って踊るために生きてきたんじゃないかって(天羽尚吾)

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青年が、なぜ生きるのかを問われ、幼いころを思い出し呟いた。

「僕はここで三人でかけっこをするために生まれてきたんじゃないかって…」
進撃の巨人」(諫山創講談社)より

大人気の少年漫画から、こんな言葉を聞けると思わなくて、おなかの底にポチャンと染み渡るような感覚があった。

大義名分がなくてもいいし、なんとない瞬間のために生きていてもいいよね。うん。

じゃあ、僕は?

「僕は、歌って踊るために生まれてきたんじゃないかなって…」
天羽尚吾 心の声より

ねえ、どうして歌ったり、踊ったりするの?

だって、言葉って難しい。感情表現って時に恐ろしい。

リズムや音階、ステップが、言葉や気持ちを装飾することによって、快適なフィルターに、本当に伝えたい思いが、じんわりと溢れる。だから、僕は音楽と物語と生きてきたし、走馬灯はショウアップされたミュージカルだといいな。と思ってる。

だけどあまりに世界は歌って踊らないので、僕は日々こうやってミュージカルしてるよ。ってことを書きます。もっと世界はミュージカルに毒されてくれ。

 

初っ端から全然ミュージカルではないんだけど、APEXというFPSゲームのトレイラーです。BGMとアクション、キャラクターのセリフ、足音や銃撃音が、マッチしてて、すっっごくミュージカル。忙しい人は24秒までだけでも。

次の現場に間に合わねばと走ってる時に、こんな音楽が流れて、手に持っていたコーヒーが落ちかける時にスローモーションになって、すんでのところでキャッチする。みたいなことしたい。いや、嘘ついた。待ち合わせには余裕を持ちたい。

この動画みたいにプレイすることに憧れて初めてみたけど、ゲーム中はまず足音や銃声を聴かなくちゃいけないので、歌ったり踊ったりする暇は無かったよ。FPS音ゲーみたいなの待ってます。

 

映画「RENT」より、結婚式中に喧嘩するカップルの曲です。サイコー、僕も喧嘩するならこんな風に喧嘩したい。ワンショット風に室内を移動するカメラワークも好き(なんかこの動画はピッチが高いのが気になるけど)

RENTは有名ですが、プロット的に…?な展開とか、当時の文化に明るくないとついていけないきらいがあって、"RENT-head"と呼ばれる熱狂的なファンとそうじゃない人達に隔たりを生んでしまっている作品でもあります。でも、お散歩しながら愛を囁きあって、寒いから途中でコートを買っちゃおう。という「I'll cover you」や気になる彼の部屋に行って、恋のキャンドルに火を付けちゃうぞ♡な「Light My Candle」など、割と身近?な曲があって、生活に取り入れやすいんですよ。君の推し曲を探せ!

余談ですが、僕はエンジェルという役をずっと演じたくて、これでもかこれでもかとオーディションを受けては落ち続けているのですが、思えば初めて観た時は麻薬中毒でストリッパーのミミになりたかったので、次にオーディションがあったら、ミミ役を志望しようかと思ってます。受かったらチップを挟んでね。

 

びっくりするほど日本で流行ってない気がする「ミラベルと魔法の家」の"We Don't Talk About Bruno" はじめて行くバーで、常連さんやらマスターが色んな話を聞かせてくれるときとか、僕にとってはこんなフィルターがかかってます。

流石ディズニーなので、音楽と映像のマッチが本当に気持ち良すぎてやばい。多分この歌でミソなのは、みんな「ブルーノのことは話しちゃダメ!」と否定的なことを言っているのに、歌ったり踊ったりしているうちに、ちょっとその状況自体も楽しんできちゃってるところなんですよね。一人で悩んでいるとキツくなっちゃうことでも、文章にしてみたり、話してみたり、共感してもらえたりすると、解決してなくてもちょっと楽になるところってあると思っていて、そんなミュージカル(ディズニー?)の魔法が存分に発揮されてます。ちなみにこちら、ダンサーたちの踊りが動きの元になっているのですが、そのメイキングも超かわいいので良かったら、デザートにでも。

 

マーク・フォースター監督、ジョニー・デップ主演の「ネバーランド」という映画をご存じの方は多いのではないでしょうか。同じ戯曲を原作としたミュージカル「Finding Neverland」です。ハーヴェイ・ワインスタインがプロデューサーをしてしまったので、今後この作品が上演されるか、どんな扱いを受けるかは分からないですが、大好きなミュージカル作品の一つなので、いつかまた観られたらと思っています。

「ピーターパン」の作者ジェームス・マシュー・バリーが主人公で、この歌をメインで歌うグレーのベストのひげの男です。彼は、繊細で少年のような心を持った作家ですが、あと一歩勇気がでなかったり押しが弱かったりする性格に苦悩しているとき、心の中に住むフック船長や海賊に背中を押されて強くあろうと決意するナンバー「Stronger」です。主人公が(自分が生み出したものとはいえ)ヴィランから勇気をもらうという構成も楽しいし、アンサンブルたちのダンスと歌声のシンクロによる力強い表現が気持ちよくて、送信に勇気がいるメールを送る時とかは、この曲に後押ししてもらったりしています。Toxic Masculinityな強さは手に入れないよう問い続けねばだけど。ちなみに、歌ってるのはドラマ「GLEE」のウィル先生を演じたマシュー・モリソンです。歌が上手い。

 

いまいちノれない飲み会とか、もやっとしたときとか、この曲を流すと、途端に今夜の主役になれます。良かったね。

僕のミュージカル原体験は、小学生の頃に観た天狼プロダクション「タンゴ・ロマンティック」という、小説家の栗本薫中島梓)による作品でした。第二次世界大戦上海事変前夜、キャバレーで出逢った決して結ばれない二人…というハードでセクシーな物語だったので、それ以来ずっと「ちょっとおませ」な道を歩んできた気がします。だから、ゴージャスで、外連味たっぷりで、愛憎やミステリーがちりばめられている世界観には、馬に人参のように惹かれちゃう。椎名林檎児玉裕一がタッグを組むと高い打率でミュージカルになるので、大変ありがたい供給です。

あぁ。もうだめだ。

語りたいことはいっぱいあるけど、もう歌いに、踊りに、出掛けたい。

でも、宣伝も……したい。

 

\と、いうことで/

 

僕は現在、ミュージカルを作っております。このZINE主筆の相馬光に脚本を書いてもらい、同じ事務所の海老原恒和に曲を作ってもらい、カフェで行うちいさなミュージカルを制作中です。そんな舞台制作の様子をポッドキャストで配信しておりますので、よかったらお聴きいただけたら嬉しいです。

 

 

〇天羽尚吾
4歳からダンスとピアノを始め、ミステリアスな存在感と鋭い感性を武器に、舞台「弱虫ペダル」岸神小鞠役やドラマ「魔進戦隊キラメイジャー」川田洋二郎役などに出演
https://twitter.com/AmoShogo
https://www.instagram.com/amoshogo/