Web ZINE『吹けよ春風』

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日晷儀の日々(次七)

2020-2023  あれから/これから(ありがとう)

 

年をとったよ/年をとったね

 

ごま油の賞味期限2024.5.2のぼくたちへ。

香典に三百万つっこんだら暮らすお金がなくなってしまった。注意。

うちのかみさんは、家に帰ると必ず「今日はどこ行ってたん」という。

林業作業所の丘だよと答えると「そうなん」といってピコピコ(パソコン)している。

「柳川町のあたり」「駅周辺」というとなんでか機嫌がわるい。

 

田中美佐子さんがだいきらいらしくて一度なんで?と訊いてみたら、

「なにもしないでも綺麗だからってなにもしないところがきらい」という。

倣って「そうなん」と返すと猫の喧嘩みたいにウーといいつつチャンネルは変えず。

 

茶碗つき合わせて食べるほうだけど週に一回か二回くらい別々の時間にしている。

好きな食べ物は「とり」。ふたりとも。だけど合わせてくれているんだとおもう。

出会いのころ同じ曲が好きで「venus as a boy」っていうビョークの曲。

そこは、本当はぼくがちょっと寄せて言ったことなんだけど。

でも好きな詩人は?ってきいたら「真島昌利」って言って、

たったそれだけで好きになってしまった。

 

"ぼくは君の背中を見た、その上に降る雨を見た"

 

「じゃあの」と夜中には別れる。

どっちかの家、どっちかの部屋でいつも。

一緒に暮らすにはすこしこんがらがった性格だから。

「この部屋なんなんよ笑」

どっちかというとかみさんの家にいることのほうが多いんで、

ぼくの訳のわからない7LDKの隠し部屋であり「作業場」と言い張った、

へんなレコードと本だらけの部屋をいつも指さして笑っている。

 

二年したら引き払うつもり。半年たったからあと一年半かな。

それまで/それからのことは、あんまり考えないようにしている。

ばらばらに散らばったプリントとかでっけえキャンパスをどけて、

「何聴くか」っていって座って、しばらくするとピコピコしていた。

こんなに落ち着かない自分の部屋うまれてはじめてだからよくわかる。

 

「寝ぐせそのまんまのんでいいんよ、はずかしくないよ」

と、帽子で覆う癖をとがめる。かみさんと居るときは気が楽になる。

「郵便だしてくるよ」というと不機嫌になるか「一緒にいく」という。

仲いいというか常連ならではの対応するコンビニのおねいさんがイヤらしい。

だからおねいさんのいない、たいがい明け方四時とかに出すようにしている。

こんなに髪の長い日々はなかったな、世界中を向いてうろたえてそして勇猛だ。

 

今日は配達だった。富士宮焼きそばを作って食べた。

目玉焼きのせるの忘れて何か大切なものを感じられなかった。

はじめてここへきたとき心は細っていてね、仲よくしなきゃとか、

あと馴染まなくちゃとおもって空回りしたりしてね、しょうがない。

そういうときいずれ振り返ったときのためにっていうお守りをさげておく。

特に誰が見るものではないけど、むかしの自分に会えそうで。

そんな日もあったなあっていうでっかい印を外しに行く。

おれはおれとよく話していたっけね。むかしね。

 

いつかこうなりたい、なにかやりたい、っていっても最初なにもなかったんだ。

だけどさいきん「年とったなあ」って言ってたかみさんや友を思い出す。

なんだかたまらない気持ちで思い出すんだよね。

 

春がきてぼくら、成長のドアを足であけた。

 

 

・プロフィール・

先日ハイチオールCを飲んだら倦怠感も存在感も消えました。

写真と地方紙の仕事をしていて脳漿がさく裂している無職です。

次七

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